健康・美容オイルの火付け役になったココナッツオイル。数年前にかなりブームにもなりましたが、その人気の理由はおわかりでしょうか?
他のオイルと比べてどのような違いがあるのか、また注目の栄養成分の中鎖脂肪酸の効果や効能などを中心に商品の選び方や摂取量、使い方などをこの機会に覚えましょう。
ココナッツとは?一般的なオイルとの違い
ココナッツはおわかりだと思いますが、ヤシの木にできる果実です。
その木からできるヤシの実の胚乳からとれるのがココナッツミルクで、そこから油分を分離させたのがココナッツオイルです。
ココナッツオイルは原産地のフィリピンでは古くから食用だけでなく、肌の保湿などのスキンケア、ヘアケア、虫刺されのかゆみ止めなどにも使われてきました。
ココナッツオイルは加熱調理向き?
健康油で人気のあるえごま油や亜麻仁油は健康には良いのですが高温だと酸化しやすいため揚げ物には不向きです。ですがココナッツオイルは食用油の中でも最も酸化しにくい油なので加熱調理も可能です。
以前はオイルといえば
- 「健康に良くない」
- 「太る」
- 「脂っぽい肌になる=肌荒れ」
というイメージでしたが、ココナッツオイルは
- 健康
- ダイエット
- 美肌
などの効果や効能が期待されている三拍子そろったオイルで、一番の注目されている栄養成分が中鎖脂肪酸です。
ココナッツオイルに含まれる中鎖脂肪酸
食用油の脂肪酸は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられます。ここ数年注目されているえごま油や亜麻仁油、オリーブオイルなどの健康油は不飽和脂肪酸の割合が圧倒的に多いです。
一方、ココナッツオイルは飽和脂肪酸の割合が圧倒的に多いオイルです。飽和脂肪酸というと動物の肉やバター、ラードといった食べ物に多く含まれていて、体に蓄積されやすいために摂り過ぎには注意が必要で不健康なイメージがあるのではないでしょうか?
ですが飽和脂肪酸は一種類だけではなく
- 長鎖脂肪酸
- 中鎖脂肪酸
- 短鎖脂肪酸
と3種類に分かれていて、ココナッツオイルに豊富に含まれているのは中鎖脂肪酸です。
ココナッツオイルの脂質の構成
下記の表はココナッツオイルの脂質の種類になります。肉やバター、ラードは長鎖脂肪酸が多いですが、ココナッツオイルは中鎖脂肪酸の割合が多いです。
脂質名 | 含有率 | 脂質の種類 |
---|---|---|
ラウリン酸 | 48% | 中鎖脂肪酸 |
ミリスチン酸 | 16% | 長鎖脂肪酸 |
パルミチン酸 | 9.0% | 長鎖脂肪酸 |
カプリル酸 | 8.0% | 中鎖脂肪酸 |
カプリン酸 | 6.0% | 中鎖脂肪酸 |
その他 | 13% |
ラウリン酸・カプリル酸・カプリン酸の中鎖脂肪酸が62%でミリスチン酸・パルミチン酸の長鎖脂肪酸が25%と中鎖脂肪酸が6割以上を占めていますが、このようなオイルは少なくとても貴重です。
ココナッツオイルの効果や効能について
ココナッツオイルにはビタミンEが含まれていますが、他のビタミンEが豊富に含まれているオイルと比べるとそれほど多くはありません。やはり注目は中鎖脂肪酸です。
中鎖脂肪酸のダイエット効果
中鎖脂肪酸はコレステロールがつきにくく、エネルギー代謝を活発にするため、肥満の原因である「中性脂肪がつきにくい」という特徴があります。さらに脂肪組織に蓄積している「中性脂肪を減らす作用」もあります。
サラダ油は脂肪がたまりやすいオイルで、摂ればとるほど脂肪が増える傾向にありますが、それをココナッツオイルに変えただけで体重が減ったという研究報告がいくつもあります。実際にココナッツオイルでダイエットをする人も増えています。ではなぜダイエットに向いているのでしょうか?
まず、中鎖脂肪酸は肝臓で分解されると「ケトン体」という物質に変わります。そしてケトン体が増えると体の中の脂肪が燃えやすくなり、空腹も感じにくくなると言われています。
そのケトン体を利用したダイエット法で成功している人が多く、これを「ケトン体質ダイエット法」と言います。
このように「油=太る」という概念がココナッツオイルによってつくがえされましたが、ダイエットをしなくてもサラダ油からココナッツオイルに変えるだけでも健康になりダイエット効果が期待できます。
中鎖脂肪酸のアルツハイマーや認知症の予防
中鎖脂肪酸が注目を集めている理由はダイエット効果だけでなく、認知症やアルツハイマーの予防に効果があると研究結果がいくつも報告されているからです。認知症やアルツハイマーは脳のエネルギーであるブドウ糖をうまく使えなくなる病気で、「脳の糖尿病」とも言われています。
中鎖脂肪酸は肝臓でケトン体に分解されるとブドウ糖に代わって脳の栄養源になってくれます。ブドウ糖の欠如で失いつつある記憶力や判断力がケトン体という燃料を得て症状を改善してします。
実際に予防だけでなくココナッツオイルを継続的に食べて認知症が改善されたという報告もあり、テレビ番組でも紹介されています。
ココナッツオイルの健康効果
中鎖脂肪酸は抗酸化作用もあります。人の体内には活性酸素が存在していますが、適量であれば問題ありません。ですが、ある一定以上に増えると体を酸化させてしまい
- 肌の酸化はシミやしわの増加
- 細胞や血管の酸化は病気にかかりやすくなる
という悪影響をおよぼします。ただし活性酸素は
- 加齢
- ストレス
- 生活習慣の乱れ(暴飲暴食、睡眠不足など)
- 大量の紫外線
- 運動不足
- 喫煙
などの理由で増えると言われています。とはいえ、加齢は避けることは不可能ですし、ストレスも減らすのもかなり難しいですね。
そこで、抗酸化作用が強い食べ物を摂ったりするのがおすすめなのですが、実はココナッツオイルにも活性酸素の増加を抑制する働きがあります。その働きは中鎖脂肪酸が分解されてできるケトン体にあるということが最近の研究でわかっています。
活性酸素が増えて免疫力が落ちるとカゼをひきやすくなるだけでなく、多くの病気にかかりやすくなると言われています。また、活性酸素の増加は肌のシミやしわを目立たせますが中鎖脂肪酸(ケトン体)がそれを防いでくれるわけです。
中鎖脂肪酸が健康に良い理由
ココナッツオイルに含まれている中鎖脂肪酸の約半分を占めるラウリン酸は母親の初乳に多く含まれている成分で免疫力を高めてくれる効果が期待されています。
ウイルスや雑菌が入っても生まれてすぐの赤ちゃんが病気にかかりにくいのはラウリン酸などを摂って免疫力が高くなっているからと言われています。そしてカプリル酸とカプリン酸は抗菌作用に優れた成分です。(ラウリン酸にも抗菌作用があります。)
カプリル酸は腸内のカンジダ症やバクテリア感染症に、カプリン酸は口腔内(口の中)のカンジダ菌に有効で医薬品の原料にもなっています。
ココナッツオイルでうがいをすると健康に?
ココナッツオイルでうがいをする「オイルプリング」は虫歯や歯周病、口臭などの予防になると言われていますが、これはココナッツオイルに抗菌作用があるからです。
※オリーブオイルでのオイルプリングも効果があります。
このように中鎖脂肪酸には
- 活性酸素を除去する働き
- 免疫力をアップさせる働き
- 抗菌作用に優れている
という理由で多くの病気の予防が期待されています。
ココナッツオイルの美容・美肌効果
ココナッツオイルには美容効果もあります。中鎖脂肪酸は抗菌作用だけでなく抗炎症作用もあるため、お肌の炎症を防いでくれます。
中鎖脂肪酸のラウリン酸は腸の動きを活発にして肌荒れや吹き出物をまねく便秘を改善する働きがあります。そして長鎖脂肪酸にも肌に良い効果があります。
ココナッツオイルに含まれている長鎖脂肪酸のパルミチン酸やミリスチン酸は健康や美肌効果が期待される成分です。
パルミチン酸は化粧品の原料にもなっている成分でしわを抑えたり、過剰な皮脂の分泌を抑えてニキビを減らしたり、予防効果もあります。またミリスチン酸も化粧品の潤滑剤などに使用されるなど肌の細胞膜の保護をします。
ココナッツオイルは肌に直接塗って大丈夫?
ココナッツオイルは食用オイルですが、食べるだけでなく、肌に塗っても効果があります。
肌を若々しく保つには保湿が重要です。これに深く関わっているのが皮脂と水分(汗)がまざった皮脂膜です。皮脂膜は紫外線や寒さ、暑さなどの外部刺激から肌を守るだけでなく、肌の水分の蒸発を防ぐ役割をしています。
その皮脂膜の代わりとして保湿効果があるのがココナッツオイルで肌にとてもなじみやすいです。
一般的にオイルを肌に塗るとヌルッとしたりベタついたりしますが、ココナッツオイルはサラッとしているので肌触りが良く安心して使用できます。
ですがココナッツオイルならば、どの商品でも同じような効果が期待できるわけではありません。
ココナッツオイルの正しい選び方
ココナッツオイルはたしかに健康や美容、ダイエットに良いオイルなのですが、質の悪い商品も出回っており、それを選んでは効果が半減してしまいます。
市販のココナッツオイルは
- ココナッツオイル
- ヴァージンココナッツオイル
- エキストラヴァージンココナッツオイル
と3つのグレードがあり、1➡3と質が良くなっていきます。
1のココナッツオイルは危険性が疑われている化学溶剤を利用して製造しています。つまり化学処理をしているのでビタミンや風味、香りが損なわれているため効果も期待できません。
2と3は化学溶剤を使用しておらず自然な方法で抽出されたオイルです。
エキストラバージンオリーブオイルの特徴とおすすめの理由
エキストラヴァージンココナッツオイルは香りが良く、質も最高級のものなので価格も高いですが、効果を実感するにはエキストラヴァージンを必ず選んでください。
ただし、日本ではエキストラヴァージンココナッツオイルの具体的な取り決め(基準)がないため、海外では「ヴァージン」の名前で売られていても、日本では「エキストラ」をつけたほうが売れるという理由でエキストラヴァージンと名付けている商品もあるようです。
こうなると本物かどうか見分けるのが難しいのですが、もうひとつ見分け方は原料の質で、「オーガニック(有機)栽培」のものを選びましょう。
特に国の機関のお墨付きがあると尚良いでしょう。日本であればJAS(日本農林規格)のオーガニック(有機)認定であれば安心です。海外製品でもきちんと厳しい審査を通貨しないとJASは認定しません。
おすすめのココナッツオイル
ブラウンシュガーファースト「オーガニックエキストラバージンココナッツオイル」
こちらはJAS認定ののオーガニックココナッツオイルです。それだけでなく、非加熱でオイルを抽出しているだけでなく未精製なので原料に含まれている栄養成分がそのまま残っている最高級のココナッツオイルです。
ブラウンシュガーファースト 有機エキストラヴァージンココナッツオイル 425g ×1個
エキストラバージンココナッツオイルの摂取量と使い方
エキストラバージンココナッツオイルをサラダ油の代わりに使用する場合はサラダ油を使用する量と同じで構いません。
ただしダイエットの場合や肌に塗ったり、オイルプディングをするなど用途が違う場合の摂取量や使用量は違いがあるので、それぞれの摂取量と使い方を紹介します。
ダイエットをする際の摂取量とやり方
以前テレビ番組の「世界ふしぎ発見」で双子の1人に下記の条件でダイエットを実践してもらいました。
- ココナッツオイルは毎日100cc(90g)摂取
- 炭水化物が多い食べ物をとらない
- 2以外は肉・魚なんでも食べてよい
- 運動はしなくてもよい
炭水化物が多いごはんやパン、パスタなどを食べないため、今流行りの糖質制限ダイエットに近いですが、野菜・果物・ナッツに含まれる糖質は制限しません。
※糖質を完全に抜くのは体に悪いです。
それと番組ではココナッツオイルは料理に使用するだけでなく、朝にココナッツオイルをコーヒーに混ぜて飲んでいました。この条件で4週間で
- 体重が-7.1kg
- 腹囲が-7.2cm
と大幅に減りました。(個人差はあります)
反対に双子のもう一人は炭水化物を普通に摂っていたので2kgほど太ったそうです。
アルツハイマー予防や健康のための摂取量
アルツハイマー病などの改善目的の場合は大さじ2杯ほどのココナッツオイルを1日3回に分けて食事にまぜるか、またはそのまま飲みます。ケトン体効果は4~5時間しか持続しないため一度に摂るよりも時間を置くようにしてください。
健康な人は1日大さじ2~3杯を目安に、こちらも2、3回に分けて摂ってください。
もちろんココナッツオイルは薬ではないので、これで必ず改善するとは限りません。栄養補助食品としてご利用ください。
髪の毛や肌に塗るときの使用量と使い方について
① お風呂上がりで体から水分を完全にふき取る前に、ココナッツオイル大さじ1~2杯を手のひらにとって両手でなじませ、顔や体に延ばします。
②かゆみが特に強い部分や日焼けした部分があれば、その箇所にココナッツオイルを念入りにつけます。
※かゆみが強い部分や日焼けした部分は風呂上がりではなくても構いません。
オイルプリングのやり方と使用量
オイルプリングは口臭、虫歯、歯周病菌の予防、改善に効果を発揮します。そして最近では口内を清潔にするだけではなく全身を健康に保つ効果があることもわかってきました。
オイルプリングのやり方は大さじ1杯のココナッツオイルを口に含み口の中全体にオイルが行き渡るようにブクブクと5~10分程すすぎます。
5分が無理な場合は最初はもっと短くて構いません。もしくはオイルの量を減らしてみてください。終わったら飲み込まず紙パックやビニールに吐き出してください。後味が嫌だと思ったら水で口の中を注いでも構いません。
口内の健康のために1日1回朝の歯磨き後に試してみてください。
まとめ
ココナッツオイルは他の食用油と違い脂質の6割以上が飽和脂肪酸の一種である中鎖脂肪酸です。その中鎖脂肪酸が肝臓でケトン体という物質に分解されると
- ダイエット
- 美容
- 健康
などに大きな効果や効能をもたらしてくれます。ただココナッツオイルを選ぶ際には品質の良いものを選んでください。
おすすめはオーガニック(有機)認定のエキストラバージンココナッツオイルです。
ブラウンシュガーファースト 有機エキストラヴァージンココナッツオイル 425g ×1個」
エキストラバージンココナッツオイルは食べるだけでなく、肌に塗っても、うがい(オイルプリング)をしても効果があります。
ですが、どんなに体に良い食べ物でも過剰摂取はダメですし、人によってはアレルギー反応が出る場合もあります。またカロリーは他のオイルと変わりがありませんので、摂りすぎには注意しましょう。
必ず質の良いエキストラバージンココナッツオイルを食べたり、肌に塗って健康的に美しくなってください。
