シュンドラパンドラでは9月末から秋冬向けのメニューとして「スパイスカレー」を始めました。インドのアーユルヴェーダ認定コースで学んだことをカレーに取り入れて本当に美味しいカレーができあがりました。ぜひ、一度お試しください。
カレーのスパイスで欠かせないのがターメリックとともにクミンですね。近年、クミンが持つ健康効果に注目が集まっているのをご存知でしょうか?いつもの食卓に、上手にクミンを取り入れるだけで食事の満足度が上がるだけでなく、健康な毎日を手に入れることができます。
クミンについての知識を深め、ぜひ身近なスパイスのひとつに加えてみてください。では、クミンについて詳しくみていきましょう。
スパイスのクミンとは?その特徴について
クミンはエジプト原産のセリ科の一年草で、「クミンシード」とはクミンの種子をさします。スーパーなどで目にするのは、クミンシードを粉末に砕いた「クミンパウダー」が多いですね。。別名でウマゼリ、キュマン、ジーラなどとも呼ばれています。
クミンは古代エジプトでは薬として用いられていたり、その他にも
- 美容
- おまじない
- 料理
など幅広い分野で重宝されていた歴史をもつスパイスです。
驚きの使用方法
今では考えられない使用方法もあったようで、そのいくつかを紹介すると
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- ミイラの防腐剤として利用
- 新約聖書の時代には、税として収められていた
- ヨーロッパでは恋人の浮気を防ぐお守りとして用いられたリ、結婚の際にポケットに忍ばせる習慣
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という記録も残っています。カレーの本場インドでは必須の香辛料でガラムマサラやチャツネなどの調味料にも使用されています。
カレー特有のスパイシーな香りや強い苦味と辛味はクミンの特徴と言えるでしょう。一方、ヨーロッパや中近東などでは一般的な料理にも使用されており、チーズやソーセージ、ピクルス、パンなどにも使用されることがあります。
種子のクミンシードは見た目がキャラウェイシードやフェンネルに似ているため、混同されることがありますが、香りは全く別物です。
クミンの期待できる効果や効能
クミンにはビタミンやミネラル類、抗酸化成分など、私達に必要な栄養素が豊富なことで知られています。
消化器官の活性化
クミンに含まれるクミンアルデヒドやリモネンという成分には、「消化器官の働きを活性化」させる作用があります。クミン独自の成分であるクミンアルデヒドの特有の香りの作用により「食欲増進効果」が期待できます。カレーの他のスパイスにも食欲増進効果がありますが、夏バテで食欲画ない時はカレーを食べてみてください。
また、クミンに含まれる「チモール」と「必須脂肪酸」の成分により、唾液腺が刺激され、消化が促されます。それに加え、食物繊維も豊富に含まれるため、酵素分泌を刺激し、「胃腸管の活性を高める」と言われています。
そのため、天然のお通じ薬としてインドでは「便秘の特効薬」となっています。。実際にアーユルヴェーダでは重度の消化器疾患の予防および治癒にクミンが用いられています。
貧血の予防・改善
クミン100g中に、鉄分が66.36㎎も含まれており、これは成人に必要な1日分の半分以上の含有量になります。(もちろん、クミンを1日に100gも摂ることは危険ですので、あくまで目安です)
実際に、貧血のサプリメントととして、「最も自然で効果的」と言われることもあります。また、クミンに含まれているビタミンB6や葉酸・マグネシウムとの相乗効果により、貧血の予防・改善も期待されています。
血圧をコントロール
体内の電解質バランスを維持するのに役立つミネラル、カリウムが豊富に含まれるクミンには、
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- 血圧を上げる要因であるナトリウムの排出を促す
- 心拍数を整えて一定に保つ
- 血管を拡張させて血液の巡りを良くする
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などが期待されています。
血圧や血流を正常に保つことは、心筋梗塞を始めとする狭心症や心不全など多くの心臓病の予防になります。
免疫力を高める
クミンは、「天然の抗生物質」と呼ばれ、インドやギリシャでは病気になったときにクミンを混ぜたお茶やスープを飲む習慣がありました。それは、クミンに含まれているリモネンという成分には、「人が持っている免疫力を高める効果」があるとされているためです。
風邪をはじめ、喘息や肺炎、そして近年の研究では、がん予防効果も期待されています。
リラックス効果
クミンの特徴ともいえる独特の香り成分クミンアルデヒドやリモネンには、「リラックス効果や鎮静作用」があります。リモネンは柑橘類にも多く含まれる成分で、脳のα波を発生させる作用も期待されています。
そのため、クミンは香りだけでも神経の興奮を落ち着かせ、リラックス効果を得ることができます。
抗酸化物質でアンチエイジング
クミンには強い抗酸化作用をもつとされる、ビタミンA・C・E、リモネン、クミンアルデヒドが豊富に含まれています。これら多くの種類の抗酸化成分が一度に摂取できるクミンは、相乗効果も期待でき「魔法のスパイス」と言えます。
抗酸化作用は活性酸素を除去して「細胞の衰えを防ぎ、肌のたるみやシワ、病気を予防して若々しい身体をキープできます。」
ダイエット効果
近年、クミンに注目が集まっているのは、「クミンダイエット」効果です。少量のクミンを料理や飲み物に混ぜ、毎日摂取する方法で、脂肪の燃焼効果や新陳代謝の活性化によってダイエットすることができると話題になっています。
クミンに含まれている植物ステロール(フィトステロール)は、植物のもつ健康成分であるファイトケミカルの一種です。これに対して動物に含まれているステロールを「コレステロール」と呼びます。
植物ステロールは、余分なコレステロールの吸収を妨げ、血液中のコレステロール値をコントロールしてくれるとされています。基礎代謝が落ちることで陥る肥満や心筋梗塞、脳梗塞などについて予防効果が期待できます。
抗糖化作用
今まで老化の主な原因は「酸化」と言われてきました。ですが、近頃は「酸化」よりも「糖化」の方が影響が大きいという意見が増えてきています。
酸化とは簡単にいうと「身体のサビ」のことです。体内にある活性酸素がある一定以上増えると細胞や肌などが傷つけられ、老化が加速すると言われています。
ですが、近年、その酸化とほぼ同時に起きて、酸化よりもはるかに悪い影響を及ぼすと言われているのが「糖化」です。糖化を簡単にいうと「身体のコゲ」のことで、「タンパク質が糖質と結びついて劣化すること」をいいます。
「タンパク質と糖質が結び付く」というのはホットケーキなどのおいしい焼き色がついた部分のところです。つまり
- 酸化=体がさびる
- 糖化=体がこげる
という違いがあります。
肌にコゲが溜まればシミやしわなどが増えて老化が加速し、細胞や血管などにコゲが増えると病気にかかりやすくなります。
そしてこの糖化によって体内で大量に作られる悪玉物質のことを「AGE」といいます。このAGEが増えるのはタンパク質や糖質が多い食べ物を加熱した場合で、お肉を
- 焼く(ステーキ)
- 揚げる(唐揚げ、コロッケ、メンチカツなど)
- 加工(ベーコン、ハムなど)
という食べ方は体内のAGEを増やしてしまいます。同じ肉料理でもしゃぶしゃぶのように茹でたり、蒸したりするとAGEは減ります。またフライドポテトといった油で揚げた食べ物もAGEが多い食べ物です
糖化が起こりAGEが過剰に増えると肌が老化するだけでなく、
- 骨粗しょう症
- 認知症
- 動脈硬化
などにかかりやすくなると言われています。
この糖化を抑えてくれるのがクミンです。以前NHKの朝の情報番組「あさイチ」でクミンが特集され、「クミンは余計な糖の吸収を抑える働きや、タンパク質との結合も妨害する(抗糖化作用)」と紹介されました。
この抗糖化作用をもたらすための1日の摂取量は「クミンシード小さじ1杯以上」です。揚げ物や炒め物などAGEが多い食べ物にはクミンシードを一緒に使うようにしましょう。
クミン摂取の際の注意点
妊娠中および授乳中
クミンは鉄分や葉酸も含まれ、妊娠中や授乳中のママにも効果絶大の食材と思われがちですが、妊娠中や授乳中は免疫力が低下していることもあり、香辛料としてのクミンは刺激物となる可能性もあるので、摂取を控えた方が良いと言われています。
また、セリ科の植物にアレルギーがある人やクミンに含まれる成分にアレルギーがある人は摂取を避けることをおすすめします。
クミンを過剰摂取すると体臭が発生?
過剰摂取することで体臭に影響がでてくるといわれています。ワキガの臭いはクミンの発する香りとよく似ていると言われていますので、摂りすぎには気をつけましょう。
クミンパウダーとクミンシードの違いって?
クミンシード
茶色の種子です。クミンシードは、炒め物や煮込み料理の調理の最初に油で炒めたり、煮出したりすることで最大限に香りを引き出すことができます。
風味が種の中に保たれているので、香りを楽しむならば『クミンシード』を使うことをおすすめします。
クミンパウダー

クミンシードを粉末状にしたものです。ハンバーグやミートボールなどの生地に練り込んで、ひき肉料理の臭み消しや、炒め物にまぶして風味付けなどに使われています。
じっくり煮込んだり炒めたりする必要があるクミンシードとは対照的に手間がかからず利用できるのが『クミンパウダー』です。
クミンの料理での使い方
カレー以外にもクミンを使うことで、お料理の幅がグンと広がります。
【お肉料理】
下味をつける際にクミンを少量加えましょう。肉の臭みをとってくれるだけでなく、いつもと違ったスパイシーな味になり、お肉との相性バツグンです。
クミンの消化促進作用で、お肉による胃もたれも予防できます。
【サラダ】
ポテトサラダなどに入れると、ピリ辛でしまりのある大人向けの味になります。また青じそなど和風のドレッシングにクミンを少量加えてみてください。
大根とじゃこのサラダなどにかければ、ひと手間加えた味付けになり、お酒のおつまにもなります。
【スープ】
いろいろな種類のスープにクミンを合わせてみましょう。クミンの香りがたち、寒い季節には、スパイスの力で身体を芯から温めてくれます。
【ヨーグルト】
プレーンヨーグルトにクミンを少量入れます。スパイス特有の辛みが苦手な人はハチミツを加えてください。ダイエット効果が期待できる組み合わせです。
【フライ】
鶏やたこの唐揚げ、フライドポテトなどの揚げ物に、クミンパウダーをふりかけてみてください。簡単にカレー風味の揚げ物になります。
クミンは少し苦味を感じるので、お子さんが食べる場合は調整しましょう。
【ハンバーグの下ごしらえ】
ハンバーグの肉だねを作る際に、クミンパウダーを加えてみましょう。香り高いハンバーグに変わります。
【炒めもの】
いつもの野菜炒めにちょっと加えるだけで風味を変えられます。人参、キャベツ、玉ねぎ、ズッキーニなどどのような野菜や、ひよこ豆などの豆類とも合います。
【クミンライス】
本格的なスパイスカレーや、エスニック料理に添えるご飯としてクミンライスがおすすめです。研いだ米に、油で炒ったクミンシードを加えて炊きます。
クミンライスにするだけで、ワンランク上になります。
【市販のカレールーにも】
市販のカレルーを利用してカレーを作る際は、下準備のタイミングで具材の肉類や魚介類などにクミンパウダーをふりかけて使ってみてください。生臭さを抑えることができ、カレーの味をよりよくすることできます。
【ジャルジーラ】
ジャルジーラはインドで人気のクミン入りドリンクでダイエット効果があると言われています。「あさイチ」でも紹介されていましたが作り方は簡単です。
- クミンパウダー 小さじの1/2杯
- 塩・コショウ少々
- レモン汁1/2個分
- 水200ml(炭酸水もおすすめ)
ぜひ一度お試ください。
まとめ
- カレー特有のスパイシーな香りは、クミンの特徴で本場インドでは必須の香辛料
- クミンの嬉しい効能は消化器官の活性化、貧血の予防・改善、免疫力を高めたり、リラックス効果やアンチエイジングなど多岐にわたる
- 免疫力の低下している妊娠中および授乳中の摂取は控える
ぜひ、毎日の食生活にクミンを取り入れてみてください。そしてシュンドラパンドラの新しいメニューのスパイスカレーもぜひ一度食べに来ていただけると嬉しいです。
